2020年冬期に摂取したもの
今期の新規摂取物。主にアニメや小説
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7284 Words
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2020年1月から3月の間にはじめて観たり読んだりしたものと、その雑な感想。
観て聴いて読んで自分が何を思ったかを文字にするのがヘタクソなので、これをうまくなりたいと思った。入力に対してうまく出力ができないというのは、はたしてキチンと入力され咀嚼され血肉になったと言えるのだろうか。言えないような気がする。


アニメ(今期)

ID:INVADED イド:インヴェイデッド

殺意を感知するシステム「ミヅハノメ」を用いて、犯罪事件を捜査する組織、通称「蔵」。そして、「ミヅハノメ」のパイロットとして犯人の深層心理「殺意の世界(イド)」に入り、事件を推理する名探偵・酒井戸。頻発する凶悪かつ謎多き事件と、そこに見え隠れする連続殺人鬼メイカー「ジョン・ウォーカー」の影を追っていく。

観た中では今期イチでおもしろかったと思う。(小並感)
一話観たときは困惑したけどイドと現実での謎解きも面白かったし、イドの中のイドの世界で現実では自分を残して死んでしまった家族と過ごして最後に現実に戻るところとかなかなか胸に迫るものがあった。
最後割とあっさりめに片が付いちゃったような気がするものの、飛鳥井さんがちゃんと救われる続編が今後あったらいいなと思った。

PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR

2120年、東京。シビュラシステムによって管理された社会で、刑事課一係を率いて事件を解決してきた二人の監視官、慎導灼と炯・ミハイル・イグナトフは、事件を捜査していく渦中で真実と正義を巡り決裂してしまう。 それらの事件の裏で暗躍する梓澤廣一は、ついに刑事課そのものを標的に定め、公安局ビルを襲撃する。 かつてない窮地に立たされた公安局刑事課一係。灼と炯の信義を問う、最後の事件が起きる。

バディものならもっとこうバディっぽい活躍の仕方をしてほしかったというか。
あとメンタルトレースで真相に辿り着いちゃうやつがいまいち納得感がないというかお話的にあまり面白くなかった。
課長が頭おかしい上司と部下に振り回されて苦労が絶えないのはまぁ観ていて楽しかった。

虚構推理

“怪異”たちの知恵の神となり、日々“怪異”たちから寄せられるトラブルを解決している少女・岩永琴子が一目惚れした相手・桜川九郎は、“怪異”にさえ恐れられる男だった!?そんな普通ではない2人が、“怪異”たちの引き起こすミステリアスな事件に立ち向かう[恋愛×伝奇×ミステリ]!!2人に振りかかる奇想天外な事件と、その恋の行方は–!?

少なくともアニメとしてはかなり退屈だった。
探偵役が尤もらしい推理をでっち上げる推理ものといえば「氷菓」が好きだなぁと思った。(全く関係ないけど)

ダーウィンズゲーム

平凡な高校生である須藤 要のもとに見知らぬアプリ「ダーウィンズゲーム」の招待メールが届く。アプリを起動させてしまったカナメは、プレイヤー同士が異能(シギル)を駆使して戦うゲームに巻き込まれてしまう。わけもわからぬまま、襲い来る強力なプレイヤーとのバトルを切り抜け、カナメは生き残ることが出来るのか!?

とりあえず原作漫画20巻まで買っちゃった。プロローグみたいな辺りで終わったけど2期はあるのかなぁ。
何か強烈に語りかけてくるものとかエモさみたいなものとかは全くないタイプの話だけどたまにこういうのが好きになるときがある。主人公が放り込まれる状況とか舞台装置のシステムとかガジェットとかが気に入っちゃったりするやつ。全然関係ないけど「東のエデン」のセレソンとかノブレス携帯が妙に気に入ったりとかそういう感じの。巻き込まれたいかというと、どちらも御免蒙るのだけども。

マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝

願いの成就とひきかえに、人知れず戦い続ける魔法少女たち。しかし環いろはは、自分の願いを忘れてしまっていた。『魔法少女になった時、私は何を願ったんだっけ?』日常の中にぽっかりと空いた穴。失われてしまった大切ななにか。理由もわからないまま、戦いつづける毎日……。そんなとき、魔法少女たちの間で噂が流れはじめる。『神浜に行けば、魔法少女は救われる』魔法少女とウワサの集まる街、神浜市。失われた願いを求める、環いろはの物語がはじまる–。

主人公たちの雰囲気だとか、無印よりこっちのが好きかもなって思った。それにしても話もアニメもあんまり動かないなぁとか思ってたら最終回でめっちゃ動いて笑った。
魔法少女の真相について視聴者はとっくに知ってるから今さら衝撃はないのだけども、他の仲間が軒並みショック受けて敵組織側にいっちゃってる中いろはだけ「いやまぁそれはそれとして妹の居場所知りたかったんだけど……」みたいなテンションなのはすげぇブレねぇ……ってなった。対してマミさんは相変わらず行動力と戦闘力が無駄にあって厄介だなぁと思った。
8話だったか、ラジオ放送からOPに繋がる演出よかった。

無限の住人 -IMMORTAL-

武士というものがまだ存在していた江戸の世──。百人斬りと呼ばれた【不死身】の男がいた。その男の名は「万次」。万次は、父母を殺され復讐を誓う少女「凜」と出会う。凜は万次に、復讐の旅の用心棒になってくれないかと言う。初めは断る万次だが、凜に亡くした妹の面影を見た。一人では危うい凜の姿に、仕方なく手を貸すことに決める。しかし凜の仇は、剣の道を極めんとする集団──逸刀流。それは、不死身の万次すら追いつめる凄絶な死闘の始まりを意味していた。

なんでおれはこれを観てるんだろうって気持ちになりながら結局24話まで観た。
残虐描写観られはするけどべつにそれほど好きじゃないんだなってわかった。


アニメ(今期じゃない)

ef - a tale of melodies.

人気アニメ「ef - a tale of memories.」の第2期シリーズにあたるTVアニメ。火村夕は、自分のことを知っている不思議な少女・雨宮優子と出会う。一方の羽山ミズキは、従兄妹・麻生蓮治の隣に住む久瀬修一が奏でるヴァイオリンの旋律に心を奪われてしまう…。ここに真実の旋律が幕を開ける…。

1期のmemoriesは観てたけど機会がなくて2期をしっかり観ていなかった。なんでもっと早く観なかったのかと後悔した一方であまり多感な時期に観てなくてよかったかもとも思った。primeでレンタルしてる間毎日のように周回して観ちゃった。

最終回でOPの絵が完全に変わるところとか、そのあとの間奏でなんかすごい励ましてくる語りで泣けた。
悲しいことや辛いこと過去に囚われることがあっても周りの人との縁を大切にしながら前に進み続けようといった旨のお話なので、それをエモいエモい言って観てる自分自身の現実生活の対称的すぎる情けなさはどうなんだということを直視してしまいかなり凹んだ。そう書きながら結局凹んでいるだけなのでそれにもまた凹んでいる。

急に思い出して観だしたのは原作ゲームのOPムービーが新海監督が関わっているやつで、例によってそういったことを話していたときにふと昔公式が公開してたデモ無限に観てたなって思い出したことからだった。原作やったことなんてないのに(エロゲだったし当時中学生だったし)。今観てもすごい。

薄墨桜 -GARO-

平安の世、栄華を誇る美しき都「京」。守りし者たち、雷吼、星明、金時は人知れず火羅と呼ばれる異形の者から人々を守る使命を遂行していた。或る日、彼らの前に現れる美しい女・明羅。そして闇の中で暗躍する時丸。美しい桜が1000 年の時を経て咲き乱れる時、哀しくも儚い復讐劇が幕を開ける―。

テレビシリーズの「紅蓮の月」は正直微妙だったのだけど、薄墨桜は「最初に観たかった紅蓮の月だ」ってなった。でもやっぱり他2作のアニメ牙狼に比べて盛り上がりはイマイチ物足りないんだよな。それに加えてキッチリかっこつけて終わらないというか。最後の一撃に気合い入れまくったら腕まで埋まって抜けなくなっちゃって死にかけたりとかそういう描写。確かに多少笑えるけどそれは盛り下がるというか。

終わりのセラフ (1期・2期)

ある日突然、未知のウイルスにより世界は滅びた。生き残ったのは子供だけ。そして、その子供たちは地の底より現れた、吸血鬼たちに支配された。百夜優一郎は、家族同然の絆を持つ百夜ミカエラら孤児たちと、吸血鬼に血を捧げることで生きていた。家畜同然の扱いに耐えかねた優一郎は、ミカエラや幼い孤児たちと共に、外の世界へと脱出を図るが…。時は4年後。百夜優一郎は日本帝鬼軍の吸血鬼殲滅部隊「月鬼ノ組」に入隊。恐るべき吸血鬼たちとの戦いに、その身を投じていく…!!

物語の途中で終わったまま2020年現在続きはアニメ化していないっぽいので、24話付き合った最後に状況が大混乱した上に何も解決しないまま「俺たちの戦いはこれからだ」で終わるのでモヤっとした。
主人公は同じような問題行動を繰り返し続けるので一度気になりだすと結構うんざりしそう。二期でおとなしくなったかと思ったら終盤でまた逆戻りしたり。
キャラのデザインとか掛け合いとかは好きだった。

彼女と彼女の猫 -Everything Flows-

ある夏の一番暑い日、彼女と、彼女の飼い猫である“僕”の暮らしが始まった。 彼女は、通っている短大の卒業を控え、就職活動に追われる毎日を送っている。いつも頑張っている彼女にとって、“僕”と過ごす時間は、互いにひと時の安らぎを感じられる、とても大切なものだった。しかし、家族のことや、友達のこと、将来のこと…いろいろなことがうまくいかず、彼女は次第に傷つき、立ち止まってしまいそうになる。 それでも彼女は、背筋を伸ばし、今日も扉を開けて外の世界へと踏み出していく。そんな大好きな彼女のことを、“僕”はいつまでも見守っていたいと思っていた。

チョビと彼女の話ではないまた別の人たちのエピソードなのかなって思って観ていたら、最後に色々あって原作に繋がる終わり方がとても良かった。ということは一見すべてうまくいったように見えるこの彼女にはまたつらい日々がやってくるのだなと一瞬悲しくなったのだけど、人生なんてそんなものだよなと(偉そうなことを)思った。
ひとつの物語がグッドエンドで終わっても人生が続く限りつらいことや悲しいことなんていくらでも起こるんだよな。

冴えない彼女の育てかた (1期・2期)

オタク高校生の「安芸倫也」は桜舞い散る坂道で、ある少女と運命的な出会いをする。インスピレーションを受けた倫也は、その少女をメインヒロインにしたギャルゲーの制作を思いつき、同学年の美術部エース「澤村・スペンサー・英梨々」と学年一位の優等生の先輩「霞ヶ丘詩羽」をスタッフに迎えようと邁進する。そんなある時、倫也は運命的な出会いをした少女が毎日クラスで顔を合わせている同級生で特に目立たない普通の女子「加藤恵」だったことを知り愕然とする。倫也は加藤恵をゲーム中で絶対的なヒロインにしようと決意するのだが・・・。

元々こういうラノベ原作ものあんまり得意じゃないのでやりとりの見てられなさとかまぁそういうところはあったのだけど、まぁヒロインちゃんがよかった。淡々とドライなツッコミする下りとかところどころ笑えるところもあったし、2期の8話だったかではめちゃヒロインしてるのがよかった。

スカイ・クロラ The Sky Crawlers

平和な時代、人々はショーとしての戦争を求め、それがビジネスとして成り立つようになっていた。カンナミ・ユーイチは、戦争請負会社ロストック社に所属する戦闘機のパイロット。前線基地「兎離洲(ウリス)」に配属されてきた彼には、それ以前の記憶がない。彼にわかっているのは、自分が《キルドレ》であることと、戦闘機の操縦の仕方だけ。空で戦うこと――それがユーイチの全てだった。

正直よくわからなかった。
大人にならない永遠の子どもが日々を淡々と繰り返していてその繰り返しの中でささやかな違いを見つけるくらいのことで満足すればいいじゃないかというようなことを言いながら、自分たちの終わらなさに思うところがある上司というか先輩というかに触れてしまったせいかいつもと違うことをして死ぬ。周りは最終的にはまた同じような日常に戻っていく。ぼくもだいたい同じ。作品自体はそういうのに対する皮肉みたいなものが含まれていると思うんだけども、一方で(ぼくの周りの)現実では案外本気でそういう「今日も明日もその先も、昨日と同じ日が続くのでいい」みたいな力の抜けたことを本気で言っているやつってむしろマイノリティだよなという実感がある。よりよい生活がしたいとか立派な仕事をしたいとかもっとお金が欲しいとかどっか行きたいとか誰かに会いたいとか、みんな元気だよなとぼくは思う。逆に自分はどうして昔からそんな感じで元気じゃないんだろう。

ペンギン・ハイウェイ

小学四年生のアオヤマ君は、一日一日、世界について学び、学んだことをノートに記録している男の子。利口な上、毎日努力を怠らず勉強するので、「きっと将来は偉い人間になるだろう」と自分でも思っている。そんなアオヤマ君にとって、何より興味深いのは、通っている歯科医院の“お姉さん”。気さくで胸が大きくて、自由奔放でどこかミステリアス。アオヤマ君は、日々、お姉さんをめぐる研究も真面目に続けていた。夏休みを翌月に控えたある日、アオヤマ君の住む郊外の街にペンギンが出現する。街の人たちが騒然とする中、海のない住宅地に突如現れ、そして消えたペンギンたちは、いったいどこから来てどこへ行ったのか・・・。 少し不思議で、一生忘れない、あの夏が始まる。

原作小説には正直そんなにハマらなかったのだけれども、森見作品では個人的に珍しくアニメの方が好きになった作品だった。これはもしかして単純にぼくの想像力が貧困だっただけの問題なのではないか。森見さんの頭の中はいったいどうなっているんだろうな。
一度読んだのに完全に忘れていたけれど結構切ない終わり方をするんだな。


そういえばここ数年新しいものを読みたいとなかなか思えなくて本屋に行っても棚の間をぼんやりと歩いているだけだったり、そもそも本屋に行ってみようという気持ちにすらなかなかならなくてだいぶ長いこと遠ざかってしまっていたのだけど、かくかくしかじかあって時間と心の余裕ができはじめたのか3月に入ってからようやくちょっとずつ読めるようになってきた。

今でもクリティカルにぶっ刺さるものを摂取するとなんだかとても疲れる。そういうのがどういうタイプのお話かということを思うとなんだかあまり好い疲れ方ではないような気もするので、これまで嗜好してきたものから外れているものや自分にとってはいささか退屈なものをもっと摂った方がいいかもなと考えている。

四月になれば彼女は

川村元気

4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。失った恋に翻弄される12か月がはじまる―なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。

いつか誰かに抱いていた愛だの恋だのっていうのはその当時は永遠のもののように感じたとしても実際のところどうしようもなく劣化してしまうのだということ。そしてそういう体験をいつかすっかり忘れてしまうことはその当時のひたむきだった自分すらも失くしてしまうことであって、そういう喪失に無自覚なまま生き続けることはときとしてなにか致命的なことなのではないだろうか。あなたもそういう欠落を抱えてしまっていませんか、というようなことを問われているようだった。
人は自分が誰のことも愛することができないことを自覚したとき孤独になる。というような意味の一節が心に傷として残った。

ノルウェイの森

村上春樹

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。僕は一九六九年、もうすぐ二十歳になろうとする秋のできごとを思い出し、激しく混乱し、動揺していた。限りない喪失と再生を描き新境地を拓いた長編小説。

また、同じ夢を見ていた

住野よる

きっと誰にでも「やり直したい」ことがある。学校に友達がいない“私”が出会ったのは手首に傷がある“南さん”とても格好いい“アバズレさん”一人暮らしの“おばあちゃん”そして、尻尾の短い“彼女”だった―

この本はなんとなくネタバレを避けて感想を書いてみたいなと思ったけど、それはどうも厳しかった。ネタ自体は結構カンタンに割れてしまうものではあったように思うけれども。

賢い小学生の女の子がおもに三人の友人(・・・・・) (+1匹)と関わりながら幸せとは何かについて考えて幾つかの問題に取り組むお話。
三人からの経験や後悔に基づいた助言と奈ノ花の頑張りによって問題が解決して、それと時を同じくして彼女らとは次々に会えなくなってしまうのだけど、そうした描写が彼女らが奈ノ花とは違う方を選んだ(或いは選んでしまった)あと生きてきた時間を否定するものではなかったらいいなと思った。そして彼女らもそれぞれの生きている場所でそれぞれ立ち直ったり、何かしらがうまくいったらいいなと思った。そうでないと「きっと誰にでも「やり直したい」ことがある」という一文につられて手に取った読者(というかぼくというか)にとってあまりに残酷だと思う。